ゆるアーツジャーナル

ジャズ/アーツマネジメント/日々感じることを綴っています。

【スミソニアン特集⑥】私のインターン体験を振り返って。

スミソニアン特集①アーツマネジメントの世界で働くプロたち

スミソニアン特集②どんな仕事をしてるの?

スミソニアン特集③どんな展示物が見られるの?

スミソニアン特集④博物館の楽器倉庫は宝の山?!

スミソニアン特集⑤オーディオツアー 

スミソニアン特集⑥私のインターン体験を振り返って。

 

 

 スミソニアンでのインターン、最後の週。

毎日通っていたのでちょっと寂しくもあります。

本当に忙しい部署で、ジャズ関係の仕事のほかに秋の大イベント「Food History Weekend」の準備もかなり手伝わせてもらいました。(アメリカは移民の国ということで、移民から伝わった食文化が沢山あります。エスニックフードを作るシェフたちを招いてクッキングデモや歴史を学べるイベントを行う予定。)

 

さっそく秋から始まるインターンシップの説明会までの待ち時間を利用して

今回は、スミソニアンでの経験を通して感じたことや学んだことをシェアしたいと思います。

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国立の博物館として背負っているもの

どんなイベントを企画するときも、まずはじめに考えるのはコミュニティーに対して何を提供したいか?それはなぜか?ということ。国立の歴史博物館ということもあって、アメリカ国内はもちろん世界中から注目を集めています。

 

ツイッターやインスタグラムで発信することは偏っていないか、事実を伝えているのかなど、常に気を使いながら世の中に情報を提供しています。そのため、メディア発信・コミュニティーリーチに特化した部署がちゃんとあり、常に「国を代表している」という意識を持たなくてはいけないと感じました。

 

企画において大切なこと

私のいた部署は、歴史の修士をとった人が多くいます。歴史博物館なので当たり前なのかもしれませんが、キュレーターと共に話し合いを何度も重ねてエキシビジョンやイベントの準備をしていきます。

 

一つのイベントに対して長いもので半年以上の準備期間を要します。

例えば、ジャズプログラムの一環である世界ツアーは計10か国を回る予定で各国の会場の予約や現地の教育機関とのコラボレーションなどの話し合いを重ねていかなくてはなりません。

その間にもまず、ミュージシャン15~18人にスケジュールや給料の交渉をしたり、移動手段の確保、現地の宿泊先の予約・・・とにかく沢山決めることがあります。


もちろんツアーの成功も大切なことですが、ジャズという音楽を使ってどのように他国とコミュニケーションをとるか、寄付してくれる団体にとってプラスになる企画なのか、予算はクリアしているのか、、決めることは山積みでした。

こういったことは、授業の中でなく実際にその立場になってみないと知ることはできなかったと思います。

 

インターンを通して得たもの・学んだこと

スミソニアンは1846年にアメリカの連邦議会によって創設され、予算の7割を政府の負担で運営する国立機関ではありますが、その他はトラストファンドで賄っている非営利団体でもあります。インターン中には、寄付をしてもらっている団体への交渉に立ち会うこともあり、非営利団体を運営する大変さを目にしました。
スミソニアンのような歴史のある機関でさえ運営費の獲得には常に苦労することもあり、その現状を間近で見た経験は今後関わるであろう非営利団体での活動に生かされると思います。


オーディオエンゲージメントの部署は、まさにコミュニティーと団体を繋ぐ架け橋だと思いました。イベントを実際に運営して参加者の反応をみることができるし、その結果を次のプログラム開発にどうつなげていくかが重要になってきます。
ソーシャルネットワーク上での反応も、大切な決断要素だということを知りました。

 

 そして、部署の中で2人が同じタイミングで辞めてしまうという(2人とも仕事のステップアップで新しいポジションに就く)自体に遭遇したのも衝撃的でした。連邦政府の職員として雇われるようで、その仕組みが古いので新たな雇用は時間がかかるそう。そのため、インターンである私にも重要な仕事が回ってきたりして、ある意味貴重な体験をしました。

 

今後について思うこと

将来、政府の機関で働くかは分かりませんが国の機関の中で働くという体験は驚きの連続でした。非営利団体としてのリアルな実態をこの目で見ることができたし、今後勉強を続けていくうえでの参考になりそうです。

大学院生活ものこり1年。チャンスを逃さないように、日々もっといろんなことに挑戦していきたいと思います。