ゆるアーツジャーナル

ジャズ/アーツマネジメント/日々感じることを綴っています。

文化政策について考える③

とととーんと、前の記事から3週間。

 

授業、イベント、ミュージカル演奏のリハにインターンが一気にあったので、充実していました。あと一ヵ月ちょいで学校が冬休みに入るため、それまで元気に過ごしていきたいと思います。

 写真は、通学途中を友達に目撃されたときのもの。加工したものが送られてきました笑

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前回に続き文化政策についてです。

 

日本の文化政策の歴史

日本は、今でこそクール・ジャパン、文化外交、文化創生などという言葉が使われているし、国自体が文化的な事業に取り組んでいますが、そうでなかった時代もあります。

 

文化庁というのが設立されたのが、1968年。今年でちょうど50年を迎えました。

日本では長らく民間の力で文化を盛り上げてきていて、明治時代・江戸時代に日本の政府が文化振興の活動に積極的になるということは少なかったようです。

なので、歌舞伎・浮世絵・文楽などの芸術は庶民を中心に発展していきました。

 

明治以降になると、今まで地域社会の中で生活をしてきた国民に、中央集権的な考えを根付かせるために日本国民としてのアイデンティティを形成する活動が始まりました。

 

しかし、最初はヨーロッパのように美術や演劇などを活用して行っていたわけではなく、テクノロジーやインダストリーの発展を促進するための取り組みが重点的でした。

それらの取り組みによって町が大きくなって、都市に住む人たち向けに生産・販売をしていこうということで、芸術がマーケティングの一環として扱われるようになりました。大正時代になって、宝塚が設立されたり、化粧品会社のギャラリーができたようです。

 

戦争が終わって高度経済成長期が訪れると、心や精神の豊かさを求める傾向が見られ、国も「文化や地方の時代」を意識し始めるようになったのです。

 

実際に文化への支援が行われるようになったのは90年代に入ってからのことでした。

98年には文化政策推進会議から「文化振興マスタープラン」というのが発表され、さらに2001年に文化芸術振興基本法として文化の政策ができあがりました。

 

私は1992年生まれですが、文化政策という活動としては私が生まれてから少しずつ動き始めたというのを知り、びっくりしました。そして、アーツマネジメントというのも本当に新たな取り組みなんだということを感じました。

 

ですが、日本でもどの国でも今まで積み上げてきた歴史があり、物語があり、それを現代の人に伝承していくという活動はとても意味があることだし、沢山の可能性があると思います。

 

最近はオリンピックについての批判や、文化庁の取り組みについてのコメントなどをネット上で見かけますが、何かを指摘できる知識がある人は批判するだけではなくて、それぞれが正しいと思う文化や芸術の振興活動を行ってほしいです。

 

文化政策について考える②

日本の文化庁

文化庁のホームページ上で偶然知ったのだけど、ちょうど今月から組織体制が変わったよう。

教育基本法に定める生涯学習の理念の実現や、人材育成・環境整備・事業支援といった視点から、生涯にわたる学び、地域における学び、「ともに生きる学び」を推進するため、教育分野の筆頭局として総合教育政策局を設置するものです。

いま注目されている地域創生の取り組みが進んで、人々が暮らす場所や生活、少子高齢化の問題に変化が起こったらいいなと思います。私自身、勉強不足なので日本の文化政策について歴史や現状を学んでいきたい。

 

アメリカの田舎

アメリカの広い土地が好きです。先日、メリーランド州の田舎でジャズ×ワイン×牧場という組み合わせでイベントを行いました。集まったお客さんは、ジャズが聞きたい人・ワインのテイスティングに来た人・牧場の名物アイスを食べに来た人、それぞれの目的があります。

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国がやっている政策みたいに大きくないけど、こういう小さな小さな活動も芸術を通したコミュニティー形成に役立つと思っています。

アメリカの田舎でも、寄付金で美術館を設立したり大きなフェスティバルをやって観光客を増やしたり、またはベンチャー企業がやってきて地域コミュニティーの活性化を図っています。

牛がのんびり暮らしてる牧場や広い空を見てると、地球はこれだけ広いのだから人々がそれぞれ好きなところで気に入ったコミュニティーをみつけて楽しく暮らせたら良いのになーと思います。

 

テクノロジーと芸術

アーツマネジメントに関わりはじめてから、大学時代に自分の専門として勉強していたジャズ以外の多岐にわたる分野のことを知って考えるようになりました。

wired.jp

この記事で対談をしている落合陽一さんは、研究者でもありアーティストでもあり経営者でもあります。

(一番共感できたのは、私の大好物のつぶグミを主食並みに食べていることですが‥笑)

研究したものを作品として人々に提供して、さらにそれを経済に結び付けるということをやっています。新しいテクノロジーも、アーティストとしての表現も、文系・理系に分けないでどちらの脳も備えていないといけない。

 

ちょっと文化政策の話からは逸れましたが、今後は日本の文化政策についての記事もアップしたいと思います。

文化政策について考える①

日本という国を知ってもらう活動

最近、ワシントンDCやバージニア州にある小学校に行く機会が度々あります。

特別授業として日本のことを教えるプラグラムをやっているのですが、いきいきとした子供たちが日本について知っていることを話してくれたり、素朴な疑問を投げかけてくれたりして、とても楽しいです。

 

何かを問いかけると、クラスのほとんどの子が手を挙げて一所懸命答えてくれるのをみると、関心してしまいます。

 

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私のインターンをしている団体のFBページからお借りしました。

 

また、日本語を話す機会が欲しい人のためのネットワーキングランチや、茶道・生け花・着物の着付けなどを習いたい人のための教室なども開催されていますが、日本という国に興味を持ってくれている人がたくさん居て、嬉しいです。それと同時に、自分の国の事をもっともっと理解して教えてあげられるようにしたい、という気持ちが強まります。

 

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日本に行った時に使える日本語を教えるコンテンツなどの作成もすることができて、とても面白いです。

というわけで、2018年前半はアメリカの文化政策について関わってきたので後半は日本側の活動に関わり、学んでいきたいなと思っています。

 

植物や木の観察

たしか、1年半前くらいに木の幹の写真を撮り始めました。

人間と同じように、表情が一つずつ違うのが面白いと思って観察を始めたのです。

最近気に入ったのが、こちら。

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結構スムースな表面で、蔦が絡まっている感じが良い。

最初はインスタグラムに載せていたのだけど、あまり見たい人は居ないだろうと思って写真を撮るだけにしていた。

最近他に発見したのは、こちらの実。

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全部同じところに生えているのに、色がちがう。

これは、そもそも種類が違うのか、順を追って色が変わるのかはよく分からない。

 

というような感じで、人にはあまり分かってもらえないような観察を日々楽しんでいます。

 

 

林檎摘みのあとに/Tasteのこと/Schwellenangst

今日は題名を見ただけじゃ、ナニコレという感じ。

 

学校は中間テストの期間で、テキストブックを読んでは論文を書いて‥という作業を繰り返しているので、日本語でランダムなトピックを書きたくなった。

 

After Apple-Picking by Robert Frost

まず、"林檎摘みのあとに"という詩のこと。

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 写真は、5年くらい前に林檎を摘みに行ったときのもの。結構お気に入り。

Robert Frost というアメリカの詩人が書いた詩で、「林檎摘みのあとに」というのがある。高校や大学の授業以外で詩に触れるということはあまりしたことが無かったのだけど、たまたま声に出してこの詩を読んでみたら凄く綺麗だと思ったし、不思議な感覚を得られたのでした。

授業とかで扱うと、何行目の意味は〇〇だとか分析をしないといけないんだろうけど、詩を読んだ時に生まれる感情とか伝わるメッセージとかは人それぞれだと思うし、この詩で綴られている情景をイメージするだけで豊かな気持ちになれる。

 

好みは人それぞれ

続いて、「De gustibus non est disputandum」という言葉について。

ある記事でこの言葉を見つけて調べてみたのです。どうやらgustusというのが「好み」というような意味。好みは人それぞれで、他人がそれに対して論ずるべきではないと古代のローマ人が言っていたようです。数か月前に読んだフランスの社会学者、ブルデューの本では差異化についてが書かれていたけど、その人の社会的位置は慣習行動とか趣味を構造化する。この社会的位置は文化的資本と社会的資本に影響されて決まる。

たまたま見つけた言葉だったけど、古代ローマの人も言っていたくらい全ての人は違う価値観を持っているし、その事を常に意識しながら芸術の現場に携わりたいと思った。

 

最近の趣味:ドイツ語

最近、Schwellenangstという言葉を知った。

特に理由はないけど、ドイツ語の絵本を読んでいる。

この言葉は、直訳すると「入口へ入る時に感じる、不安」のようなもの。

私の理解では、こんなシチュエーションで使う↓

歴史あるオペラハウスに行くことになった。少しはおめかしして来たのだけど、入り口に着いてみると、自分だけ服装があきらかに浮いていて「あれ?みんな凄いドレスアップしてるな。どうしよう、、、」というような感情らしい。

「気遅れ」みたいな感じかな?

 

すごいランダムなことを書いたつもりだったけど、結局どれも勉強していることに通じていたような。。

秋のおとずれ

インターン、授業、演奏の繰り返しで、気付いたら9月も後半に!

12月になるまでブログの頻度は落ちそうですが、ゆるく続けていこうと思っています。 

 

新たなインターンを開始!

夏の間はアメリカから発信する文化政策に関わることが多く、ジャズはもちろんアメリカの歴史や文化を通して、知識や体験を提供するお手伝いをしました。

夏のインターンが終わっても、アメリカ歴史博物館でお手伝いする機会があるのでこの縁を大事にしていきたいと思います。

 

そして、秋からは違うインターンを開始!

仕事においても日常においても新しい知識や人とのつながりを得ることは、大学院で勉強するようになってから特に感じます。

 

 

読書のアキ

私は時間に追われ余裕がないときにこそ、隙間時間に本を読みます。

一番最近読み終えたのは、日本語訳のゴールズワージーの作品、「林檎の木」

 

ページ数も少なくシンプルなのだけど、自然を描写するところや読者の気持ちまでを揺さぶるようなストーリーが印象的でした。

川端康成がこのお話に影響を受けて「伊豆の踊子」を書いたよう。(高校生の時に教科書で読んで、伊豆旅行へ行ったのが懐かしい◎)

 

図書館で "The Forsyte Saga"「フォーサイト家物語」を借りてきたのでたのしみ。原作の英語で読むと感じることも違うだろうし、解釈の仕方も変わってくると思うのでじっくりと読みたいと思います。

 

新しい曲 “Philer”

秋は、なぜか色んな感情が生まれる季節。

"Philer"という曲を作りました。題名として使っているPhilerというのは、実は単語として存在しません。

Philというのが、ギリシャ語の動詞で”love"という意味だそうで、それに"er"を付けてagentive nounとして造語をつくりました。

 

世に存在するものに対して、どんなものにも愛という感情を向けることができたら良いなという気持ちを込めています。

 

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仕事も演奏も全力で今学期を乗り切ります★

 

 

【ブラジルの博物館での火災】 世界中の博物館やコンサートホールが見直さなくてはならないこと

先週から秋の授業が始まりました。

 

本題には関係ないけど、家族が大阪と京都へ旅行に行ってきたようです。写真が送られてきました。

 

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中学生、高校生の頃は甲子園の野球応援に夜行バスで行き、太陽の塔の下でお弁当を食べていたのが懐かしい。

 

そして、台風や北海道での地震が心配です。
家族も、ぎりぎり新幹線に乗る時間を早めて東京へ帰ってこれたよう。

 

 

今日は締め切りが迫っている仕事があり、ブログを書いている場合ではないけど、ブラジルで起きた大きな出来事がアーツマネジメントに関係することだったので、思ったことを軽く書き留めておこうと思いました。

 

 

The Brazil museum fire is a warning to us all - The Washington Post

ワシントンポストの記事。ニュースというよりは、事件の背景を調べて考察している記事なので参考になると思いました。

 

9月2日の夜にブラジルの国立博物館で起こった火災。

 

死者は出なかったようだけど、博物館の展示物はほぼ全焼してしまったよう。

 

科学的、文化的遺産が消えてしまった。

 

何個か記事を読んで分かった問題点や思ったこと

  • 博物館は年間予算の12分の1しか受け取っていなかった
  • 2000万もの展示物を失う
  • 消防士が駆けつけても水が近くにない状況だった
  • 清掃員や警備員に給与が払えず休館に追い込まれることもあった
  • スプリンクラー設備がなかった
  • 経営側はリスクマネジメントをしていなかったのではないか
  • レプリカを展示して、実物はオフサイトに保管するのではなく、ほぼ全ての実物が博物館にあったよう

 

ブラジルの政治・経済情勢に詳しいわけではないけど、国立の博物館でさえ経営が大変なようだったので、この火災で更にダメージがあるのではないかと思う。

 

この火災事件の情報をもとに、各国の博物館は改めて自分の団体の建物のレギュレーションを見直したり、維持のための予算を見直したりすると思う。

 

ワシントンポストでも言われているようにどこの建物でも起こり得ることで、そんなことが起こってしまっては、知識も歴史も失われてしまう。

 

「デジタル復元」のためにウィキペディアが、焼けてしまった収蔵品の写真を集めようと、呼びかけを行っているようです。写真はあったとしても、実物には何物にも代えられない価値があるし、改めて博物館の大切さを感じました。

 

博物館やコンサートホールなどは特に維持費がかかるし、資金面でも運営面でも更にアーツマネジメントの重要性が高まると思いました。

 

今後、もっと情報が出てきて世界中でどんな動きがあるか見ていきたいと思います。

 

 

アメリカで秋の始まりを感じる

この数日間、朝5時頃のトレイルを軽く急ぎ足で歩いていると、涼しくて心地が良いです。でも、それと同時に秋特有の寂しさみたいなものを感じる。

 

8月だけどちょうど立秋の時期でもあり、アメリカでも日本に居るような秋の訪れを感じることができるのには感動します。(在米5年目なのに、、今までは余裕がありませんでした笑)

 

 

秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる

                          藤原 敏行

 

 

”秋の訪れはまだはっきりと目に見えているわけではないけど、夏とは違う秋の風を感じられる” というこの和歌がピッタリな朝だと思いました。

 

勉強とか仕事に気を取られていると、こういうささやかな変化を逃してしまうので、もっと肩の力を抜いて生活したいです。

 

もし緯度が全然違うところに住んでいたら、もっと違うことを感じるんだろうな~。

日本で習った中国の文化

 

英語を使って生活するようになってから、母国語の日本語はもちろん、色んな言葉に興味を持つようになりました。

 

先日、中国人の友達とお互いの国の教育について話していると、日本人は中学や高校で現代文・古文のほかに漢文も習うのに対して、中国出身である友達は漢文を習ったことが無いと言います。

かなり驚きました。

で、何を習うのかと聞くと英語が中心だとのこと。

日本で当たり前のようにやっていた習字も、必修科目ではないので習い事として塾へ行かなくてはならないらしい。

お隣の国で、文化面において影響を受けているはずなのに違うことが沢山ある。

 

中国は大学受験が大変という話を聞いたことがあったけど、クラスメイトは高校の授業が終わったら夜の10時まで学校内で補修のようなクラスを受けていたそう。

 

国によって、教育制度は全く違うということに改めて気づかされました。

でも、伝統が失われつつある状況はどこでも同じなんだな。

 

季節の認識

秋はどうしても、季節のことを考えてしまう。

世界で最初に季節の観測を始めたのは、古代中国だそう。古代のギリシャよりも先に季節の現象を分析していて、その季節の認識に影響された日本では「万葉集」や「古今和歌集」が誕生したのだから、すごい。

 

アメリカの音楽を聴いてアメリカのご飯を食べていても、時折日本の芸術文化に触れると、穏やかな気持ちになれる。やはり、私は日本人なんだなと感じる。

 

写真は、中国人クラスメートが作ってくれた中華料理。

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