ゆるアーツジャーナル

ジャズ/アーツマネジメント/日々感じることを綴っています。

エリントンの壁プロジェクト

日本の素敵な活動を見つけました。

最近、お米の産地新潟にある敬和学園大学のジャズバンドが、「Ellington Wall Project」というプロジェクトを立ち上げたという記事を発見。

 

Duke Ellington Wall Project (エリントンの壁プロジェクト)

Facebookのページによると敬和学園大学のジャズバンド「Jazz Quest」は、"新潟の国際親善名誉市民であるデュークエリントンをリスペクトして"活動をしているそう。

 

敬和学園といえば、私が高校時代に度々参加していたジャズフェスティバルで敬和学園高校のジャズバンドを見る機会がありました。その系列の大学でも2015年からジャズバンドの活動があるようで、今回見つけたプロジェクトはバンドの大学生たちを中心として立ち上げたようです。

 

プロジェクトの概要

1964年に起きた新潟地震の際ちょうど東京でライブをしていたエリントンは、その惨状を聞いてチャリティーコンサートを開きました。そこで集められたお金は義援金として新潟へ送り、その2年後には「国際親善名誉市民」の称号を贈られたそうです。

2018年、人を隔てる壁を否定したエリントンの背景と功績を後世に伝える為、新潟市のスケート場に壁画がつくられました。

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(写真は、FBページから引用しました。)

 

しかしこの壁画のある施設は2019年の3月には閉鎖が決まっているそうで、この壁も一緒に解体されてしまいます。そのため、解体前に敬和大学へ壁を運ぼうというプロジェクトが発足しました。

 

エリントンの功績と文化的価値を伝えていくということ

私は以前ブログでも書きましたが、エリントンの生まれた街ワシントンDCに古くから残るジャズクラブも文化的価値・歴史的価値は関係なしに契約の問題で取り壊しされてしまう可能性があります。

またDCにも壁画があり、一生残るという保証はありません。

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何を残すか、なぜ残すか、というのは場所によっても違うし、人によっても考え方は違います。何かを守る価値があると考えるひとは、その重要性や可能性について回りの人に発信していかなくてはなりません。

非営利活動やジャズ、芸術への理解が日本よりはあるであろうアメリカでも、こういうケースはいくらでもあります。

それぞれのコミュニティーがどんどん積極的に文化的価値について議論し、後世に残すべきものがしっかり受け継がれていく世の中になって欲しいと思います。