ゆるアーツジャーナル

ジャズ/アーツマネジメント/日々感じることを綴っています。

動物の保護団体

猫や犬、ウサギ、インコ、ハムスター、、どんな動物も大切な命。人間に幸せを与えてくれる動物たちですが、ペットとしての彼らは自分の意志で飼い主や住む場所を選べません。優しい飼い主さんのもとへ引き取られたペットは幸せな生活を送れますが、捨てられてしまったり、ペットショップで売れ残ってしまうと殺されてしまう可能性が多いのです。

 

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小さい頃の私は犬や猫と触れ合う機会がほとんどありませんでした。唯一家で可愛がっていたのが、うさぎのルルです。小学6年生の夏に家に来て、そのあと12年間も楽しい時間と癒しを与えてくれました。

 

ルルは、近所のペットショップから生後数か月の時に我が家へ来ました。ルルと出会うことが出来たのもペットショップのおかげで、ブリーダーさんやお店から購入したペットと長年幸せに暮らしている飼い主さんも沢山います。なので、ペットショップが一概に悪いとは言いませんが、今回は大量繁殖・遺棄・引き取り依頼などの理由から動物を保護するアメリカのアニマルシェルターの紹介をしたいと思います。

 

 

 アニマルシェルターの誕生

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いまアニマルシェルターとして活動している団体は、もともと狂犬病が流行っていた時代に犬を収容していた場所でした。そこでは、感染がそれ以上広がらないようにガス殺や餓死をさせていたのです。

 

しかし1950年頃には、狂犬病のワクチンが義務付けられて動物の福祉や公共衛生を管理するようになり、その後アニマルシェルターとして少しでも動物の命を無駄にしないように働きかける運動が始まりました。

 

シェルターの種類

①行政の運営するシェルター

アメリカ各州の郡ごとにシェルターを運営しており、場合によっては3つの郡が合同でやっているところもあります。

ちなみに、私が一番よくボランティアしていたシェルターは「Tri County Animal Shelter」といい、Calvert郡・Charles郡・St. Mary's郡が共同で運営しています。 (「Tri」はギリシャ語由来で3つという意味)


行政シェルターは、「Kill Shelter」とも呼ばれており、ある一定の期間譲渡先が決まらなければ、殺処分の対象となってしまうことがほとんどです。

 

②民間の運営するシェルター

民間のシェルターは非営利の団体として活動していることが多いです。規模や活動の内容もそのシェルターによってさまざまですが、代表的なのは「Humane Society」や「Society for the Prevention of Cruelty to Animals」です。

 

このような団体や、特定の犬種だけをまとめて保護するレスキュー団体は、譲渡するときの条件が行政のシェルターよりも厳しいです。

・過去のペット歴
・ペットを飼える収入があるのか
・家の環境が整っているか確認するための訪問

など、団体によって条件が違います。

 

また、民間シェルターは「No Kill Shelter」として活動していることが多く、受け入れた動物の殺処分は余程のことがなければしません。その代わり、受け入れをする場合は健康かつ元飼い犬/猫だった、特定のシェルターからの転送のみ、など制限をしています。

 

シェルターでのボランティア

行政シェルターも民間シェルターも、ボランティアなしで運営をすることは難しいです。

ボランティアの種類は多く、動物の世話・動物の管理・受付・会計・獣医・運搬など、それぞれの人が自分の得意なことで団体のために貢献しています。

私も大学生の頃に、3か所のシェルターでボランティア登録を行い、時間のある時に犬を散歩させる・訪問者の案内などをやっていました。当時、寮に住んでいて動物が飼えなかった私はシェルターで動物に会うのが楽しみだったので、よく友人と訪れたものです。

 

次回は、私がシェルターから犬を保護したお話を書きたいと思っています。

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新しい年

2019年になって、初のブログです。

今までは「新しい年」というと新しいことに挑戦したり、身を引き締めたりするのに丁度良い区切りだと思っていましたが、今年は気合を入れすぎず冷静に自分のペースで前に進んで行けたら良いなと思っています。

 

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昨日は、さっそく春に書き上げる予定の卒業論文の進捗状況を発表するクラスでした。今後もジャズとアーツマネジメントについて書いていきたいと思います。

 

 

ブログもスロースタートとなってしまいましたが、本年もどうぞ宜しくお願い致します。

 

 米澤晴香

 

Duke Ellingtonが生まれた街のジャズクラブ

Duke Ellingtonの生まれた場所

ジャズ界では、誰もが知っているであろうDuke Ellington。
1899年、ワシントンDCにて生まれました。エリントンが生まれた場所や育った建物などは現在一般公開されていませんが、街にはCultural Tourism DCによるトレイルや看板などが設置されており、当時のDCのジャズシーンなどを知ることができます。

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Washington Post, February 4, 2012

①Duke Ellingtonが生まれた場所
②Duke Ellington School of the Arts
⑨や⑮周辺はジャズが聞けるバーなどが集まる場所

エリントンの伝記には、1920年頃のDCはハーレムよりもジャズクラブがあり、ジャズが盛んだったと言われています。


閉店してしまった歴史あるジャズクラブ"Bohemian Caverns"

ジャズクラブが集まるU Street には、Bohemian Cavernsというジャズクラブがありました。実際の建物はまだ残っていますが、2016年3月に運営資金の問題で閉店せざるを得ませんでした。オンラインで物件が出ています。

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Cultural Heritageを守るための活動

今学期の授業で非営利団体のケーススタディーを書いていた時に、見つけたのがこの記事。

dcist.com

Duke Ellington School of the Artsでジャズディレクターを務める、Davey Yarboroughが「Bohemian Caverns」を復活させたい、という目標を表明したのです。詳しいことは記事に書いてありますが、National Trust for Historic Preservation(歴史的建築物の保護を目的とする団体)との繋がりもあるそうです。

 


偶然が重なり、Yarboroughさんと一緒に仕事をしているという友達が私のためにミーティングの機会を設けてくれることになりました。

私自身とても興味のある、ワシントンDCのジャズシーン。非営利団体のマネジメントの勉強や、この機会を活かして積極的にDCジャズの伝承に関わっていきたいと思っています。

 

Duke Ellingtonのことを学ぶのに役に立った本

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Jazzと正義

アーツ界にアンテナを張り巡らす

人々の生活や人が住む建物にも歴史があります。

人間が生きているなかで生まれた芸術も時の経過と共に発展し、ある程度のジャンル分けがされていく。今の時代を生きる私たちは、その歴史の重なりの中に織り込まれていきます。

 

アーツマネジャーやリーダーとしての役割は、過去のアートフォームを来世に残しながらも何か新しいことは出来ないかと常にアンテナを張り巡らして、新たなアートフォームを生み出していける環境を作ることだと思っています。もちろんアーツマネジャー自身も一人のアーティストであり、クリエイティブな思考が必要になってきます。

 

Jazzと正義をつなぐイベント

私が大学院に居る間に一番出来る事といえば、より多くのケーススタディーをしてクリエイティブな思考の可能性を広げることだと思っています。現代の芸術の世界のリーダーたちと会う機会があり、彼らの取り組みを肌で感じて「こんなことも出来るのか~」とイベントやプログラミングのネタを日々盗み取っています。

 

先日、実行委員として参加したのが「Jazz 4 Justice」というイベント。

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私のお世話になっているサックスの先生がリーダーを務めており、2001年の創設からパートナーシップも増えて年々成長している非営利団体です。

Jazzの力を正義のために使おうというテーマのもと、大学の音楽学部と地域の法律のためのコミュニティを繋ぎ、法的援助とジャズを勉強する学生のための資金を提供しています。

この活動によって、学生が大学に通ってジャズを学んだり、法的な手続きをしないといけないけど費用が足りていない人が、援助を受けることができています。
一日のコンサートのチケットの売り上げで、250万円近くのドネーションを集めています。

 

ジャズと法律、もともと直接的な関わりはありませんでしたが、地域の法律団体に努める人たちがジャズが好きだったという理由で、このプロジェクトは始まりました。

このブログでは、一見無縁に見えるジャンル同士のコラボレーションを見つけ次第レポートしていきたいなと思っています。

 

芸術界の未来

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Gaylene Carpenter著書の「Arts and Cultural Programming」という本を読み始めました。最後の方には芸術の世界の未来について書いてあるので詳しくは次のブログで書く予定です。

 

 

 

 

 

【文化に対する価値観①】シェイクスピアライブラリー

今学期は、なるべく色んな芸術に触れようと音楽以外のイベントも積極的に参加しています。

 

演劇「The Lion in Winter」

中でも良かったのは、Folger Shakespeare Libraryというところ。時期によってマクベスやジョン王、恋の骨折り損などを上映していますが、先日招待してもらったのはシカゴ出身の脚本家James Goldmanが書いた「冬のライオン」の台本リハーサル。

 

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アメリカに来た頃の英語力ではきっと楽しむことはできなかったであろう、リハーサル。この後は演者としゃべる機会もあり、畑違いのプロたちとの交流はとても充実していました。高いクオリティーのパフォーマンスを提供しながらも、沢山のお客さんにどうやってアピールをする必要があるのかについて話をしました。

 

文化に対する人々の価値観

前に読んだLawrence Levineによって書かれた本「Highbrow Lowbrow」では、大衆に向けた文化と知識人と呼ばれる人に向けた文化について書かれていました。

かつてシェイクスピアの作品が上映されていた19世紀頃には、"High culture"とされる芸術(オペラ・オーケストラ・印象派の絵画など)が市民層にも受け入れられていました。しかし、20世紀に入るころには「芸術」というものがだんだんと教養を必要とする芸術ポップアート分けられるようになったのです。

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先日ケネディーセンターで観たオペラもそうだったけど、チケットは数万円ということもあって周りを見渡す限りおじいちゃんおばあちゃんの観客しかいません。オペラは特に上映すること自体お金がかかるし、だからといってケネディーセンターでチープな作品を提供するわけにもいかない。経営側は、時代の逆境と常に闘わなくてはなりません。

 

シェイクスピアの作品無料公開

Folger Digital Texts

図書館や博物館では、歴史的な物のデジタル化が進んでいます。ジョンズホプキンスなどでは、デジタルキュレーションに特化したプログラムがあるくらいです。(かなり評判が良いので気になっています)

シェイクスピアのテキストもデジタル化されていて、誰でもオンラインでみることができるので良い動きだなと思いました。

 

Thelonious Monk Institute of Jazz から Herbie Hancock institute of Jazzへ

今年の12月2・3日にワシントンDCで「第30回セロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティション」が開催されます。私が大学生の頃にもサックス部門のコンペティションでDC行われました。2018年は、ピアノ部門です。

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世界中から注目されているこのコンペティションは、ジャズミュージシャンの登竜門とも言われていて、非営利教育団体のThelonious Monk Institute of Jazzが主催しています。

2018 Thelonious Monk Institute of Jazz International Piano Competition

 

この団体はワシントンDCに本部を置き、コンペティションだけでなく様々な教育プログラムやインターナショナルジャズデイなどの国際的なイベントも行っています。

 

団体の名前でもある「セロニアス・モンク」(ジャズピアニスト)の息子、Thelonious Monk IIIによって1986年に設立されたこの団体は、現在ハービーハンコックのリーダーシップのもと運営されています。

 

そして11月6日には、団体の名前を「Herbie Hancock Institute of Jazz」に変更するというアナウンスがされました。(これは、2019年の1月1日に実行)この決断にハービー自身は関わってないようで、運営委員会の中で決定されたと記事中に書いてあります。

monkinstitute.org

 

団体の名前が変わるというのは大きな決断だと思うし、反対の声などもあったようですが「UNESCO」とのパートナーシップは今後も続き、今までのミッションをもとに教育プログラムを世界に向けて発信していく予定だそうです。

 

来月行われるピアノ部門のコンペティションが楽しみです。

 

 

【スミソニアン特集⑦】大きなイベント"Food History Weekend"

スミソニアン特集①アーツマネジメントの世界で働くプロたち

スミソニアン特集②どんな仕事をしてるの?

スミソニアン特集③どんな展示物が見られるの?

スミソニアン特集④博物館の楽器倉庫は宝の山?!

スミソニアン特集⑤オーディオツアー 

スミソニアン特集⑥私のインターン体験を振り返って。

スミソニアン特集⑦大きなイベント"Food History Weekend"

 

夏前から準備していたイベントで、インターンが終わっても、少しお手伝いさせてもらっていました。どんだけスミソニアン好きなのーという感じですが、一年の中で最も大きな催し物の一つ、「Food History Weekend」通称FHWのレポートです。大好きな博物館で大好きな食についてのイベントに関われる、とっても良い機会を得ることができました。

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先週末に行われたこのイベントは移民の国ならではの企画で、全米に住む移民の人たちが受け継いできた、その地域の食事にフォーカスしています。アメリカに移民した人のレシピなので、物によってはその国のオリジナル料理とは異なっているというところも面白いのです。

 

イベントの中で行われたのは、①クッキングデモンストレーション②シェフとキュレーターによるディスカッション③子供のためのアクティビティー④ダンスパフォーマンス⑤食のエキシビジョン。

 

クッキングデモ

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クッキングデモは、本当に人気で立ち見も出るほどでした。メキシコ・インド・ネイティブアメリカ・スミスアイランドなどの伝統料理を作るシェフたちが、自身の体験や料理のコツを実際に作りながら語ってくれます。

博物館はアクセシビリティにも力を入れているので、全てのプログラムで手話の同時通訳がついていました。

 

食のエキシビジョン

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今年、新たな取り組みで「The Grain Elevator」というエキシビジョンがありました。全米で食べられている穀物が、地域のよってどんな風に使われているのか・年代によってどう変化してきたのかが良く分かるようになっています。全体像の写真は撮り忘れましたが、エレベーターのような部屋を丸ごと使っての展示でした。上の写真では、参加者にとって自分の故郷を連想させる食べ物は何かポストイットに書いてもらいました。一人ひとり、どこで育ったかによって食べていたものが違うのが面白いです。

 

伝統ダンス

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もう一つのお気に入りのプログラムは、サンフランシスコからダンスカンパニーを呼んで実現した「Punjabi Dance」です。インドとパキスタンにまたがるパンジャーブ州とメキシコの民謡を混ぜたパフォーマンスを披露してくれました。ストーリーのあるダンスでとてもユニークでした。

 

普段より多くの人が来場してくれて、盛り上がりました。食は、人間の生活に必要不可欠で、それぞれの場所で違う料理が食べられているという事実がとても面白いと思います。日本でも違うお味噌を使ったり、違う醤油を使ったり、家庭によって味付けが違います。生きている間に、出来るだけ多くの種類の食べ物をたべるのが目標です!