ゆるアーツジャーナル

ジャズ/アーツマネジメント/日々感じることを綴っています。

Thelonious Monk Institute of Jazz から Herbie Hancock institute of Jazzへ

今年の12月2・3日にワシントンDCで「第30回セロニアス・モンク国際ジャズ・コンペティション」が開催されます。私が大学生の頃にもサックス部門のコンペティションでDC行われました。2018年は、ピアノ部門です。

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世界中から注目されているこのコンペティションは、ジャズミュージシャンの登竜門とも言われていて、非営利教育団体のThelonious Monk Institute of Jazzが主催しています。

2018 Thelonious Monk Institute of Jazz International Piano Competition

 

この団体はワシントンDCに本部を置き、コンペティションだけでなく様々な教育プログラムやインターナショナルジャズデイなどの国際的なイベントも行っています。

 

団体の名前でもある「セロニアス・モンク」(ジャズピアニスト)の息子、Thelonious Monk IIIによって1986年に設立されたこの団体は、現在ハービーハンコックのリーダーシップのもと運営されています。

 

そして11月6日には、団体の名前を「Herbie Hancock Institute of Jazz」に変更するというアナウンスがされました。(これは、2019年の1月1日に実行)この決断にハービー自身は関わってないようで、運営委員会の中で決定されたと記事中に書いてあります。

monkinstitute.org

 

団体の名前が変わるというのは大きな決断だと思うし、反対の声などもあったようですが「UNESCO」とのパートナーシップは今後も続き、今までのミッションをもとに教育プログラムを世界に向けて発信していく予定だそうです。

 

来月行われるピアノ部門のコンペティションが楽しみです。

 

 

【スミソニアン特集⑦】大きなイベント"Food History Weekend"

スミソニアン特集①アーツマネジメントの世界で働くプロたち

スミソニアン特集②どんな仕事をしてるの?

スミソニアン特集③どんな展示物が見られるの?

スミソニアン特集④博物館の楽器倉庫は宝の山?!

スミソニアン特集⑤オーディオツアー 

スミソニアン特集⑥私のインターン体験を振り返って。

スミソニアン特集⑦大きなイベント"Food History Weekend"

 

夏前から準備していたイベントで、インターンが終わっても、少しお手伝いさせてもらっていました。どんだけスミソニアン好きなのーという感じですが、一年の中で最も大きな催し物の一つ、「Food History Weekend」通称FHWのレポートです。大好きな博物館で大好きな食についてのイベントに関われる、とっても良い機会を得ることができました。

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先週末に行われたこのイベントは移民の国ならではの企画で、全米に住む移民の人たちが受け継いできた、その地域の食事にフォーカスしています。アメリカに移民した人のレシピなので、物によってはその国のオリジナル料理とは異なっているというところも面白いのです。

 

イベントの中で行われたのは、①クッキングデモンストレーション②シェフとキュレーターによるディスカッション③子供のためのアクティビティー④ダンスパフォーマンス⑤食のエキシビジョン。

 

クッキングデモ

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クッキングデモは、本当に人気で立ち見も出るほどでした。メキシコ・インド・ネイティブアメリカ・スミスアイランドなどの伝統料理を作るシェフたちが、自身の体験や料理のコツを実際に作りながら語ってくれます。

博物館はアクセシビリティにも力を入れているので、全てのプログラムで手話の同時通訳がついていました。

 

食のエキシビジョン

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今年、新たな取り組みで「The Grain Elevator」というエキシビジョンがありました。全米で食べられている穀物が、地域のよってどんな風に使われているのか・年代によってどう変化してきたのかが良く分かるようになっています。全体像の写真は撮り忘れましたが、エレベーターのような部屋を丸ごと使っての展示でした。上の写真では、参加者にとって自分の故郷を連想させる食べ物は何かポストイットに書いてもらいました。一人ひとり、どこで育ったかによって食べていたものが違うのが面白いです。

 

伝統ダンス

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もう一つのお気に入りのプログラムは、サンフランシスコからダンスカンパニーを呼んで実現した「Punjabi Dance」です。インドとパキスタンにまたがるパンジャーブ州とメキシコの民謡を混ぜたパフォーマンスを披露してくれました。ストーリーのあるダンスでとてもユニークでした。

 

普段より多くの人が来場してくれて、盛り上がりました。食は、人間の生活に必要不可欠で、それぞれの場所で違う料理が食べられているという事実がとても面白いと思います。日本でも違うお味噌を使ったり、違う醤油を使ったり、家庭によって味付けが違います。生きている間に、出来るだけ多くの種類の食べ物をたべるのが目標です!

 

 

文化政策について考える③

とととーんと、前の記事から3週間。

 

授業、イベント、ミュージカル演奏のリハにインターンが一気にあったので、充実していました。あと一ヵ月ちょいで学校が冬休みに入るため、それまで元気に過ごしていきたいと思います。

 写真は、通学途中を友達に目撃されたときのもの。加工したものが送られてきました笑

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前回に続き文化政策についてです。

 

日本の文化政策の歴史

日本は、今でこそクール・ジャパン、文化外交、文化創生などという言葉が使われているし、国自体が文化的な事業に取り組んでいますが、そうでなかった時代もあります。

 

文化庁というのが設立されたのが、1968年。今年でちょうど50年を迎えました。

日本では長らく民間の力で文化を盛り上げてきていて、明治時代・江戸時代に日本の政府が文化振興の活動に積極的になるということは少なかったようです。

なので、歌舞伎・浮世絵・文楽などの芸術は庶民を中心に発展していきました。

 

明治以降になると、今まで地域社会の中で生活をしてきた国民に、中央集権的な考えを根付かせるために日本国民としてのアイデンティティを形成する活動が始まりました。

 

しかし、最初はヨーロッパのように美術や演劇などを活用して行っていたわけではなく、テクノロジーやインダストリーの発展を促進するための取り組みが重点的でした。

それらの取り組みによって町が大きくなって、都市に住む人たち向けに生産・販売をしていこうということで、芸術がマーケティングの一環として扱われるようになりました。大正時代になって、宝塚が設立されたり、化粧品会社のギャラリーができたようです。

 

戦争が終わって高度経済成長期が訪れると、心や精神の豊かさを求める傾向が見られ、国も「文化や地方の時代」を意識し始めるようになったのです。

 

実際に文化への支援が行われるようになったのは90年代に入ってからのことでした。

98年には文化政策推進会議から「文化振興マスタープラン」というのが発表され、さらに2001年に文化芸術振興基本法として文化の政策ができあがりました。

 

私は1992年生まれですが、文化政策という活動としては私が生まれてから少しずつ動き始めたというのを知り、びっくりしました。そして、アーツマネジメントというのも本当に新たな取り組みなんだということを感じました。

 

ですが、日本でもどの国でも今まで積み上げてきた歴史があり、物語があり、それを現代の人に伝承していくという活動はとても意味があることだし、沢山の可能性があると思います。

 

最近はオリンピックについての批判や、文化庁の取り組みについてのコメントなどをネット上で見かけますが、何かを指摘できる知識がある人は批判するだけではなくて、それぞれが正しいと思う文化や芸術の振興活動を行ってほしいです。

 

文化政策について考える②

日本の文化庁

文化庁のホームページ上で偶然知ったのだけど、ちょうど今月から組織体制が変わったよう。

教育基本法に定める生涯学習の理念の実現や、人材育成・環境整備・事業支援といった視点から、生涯にわたる学び、地域における学び、「ともに生きる学び」を推進するため、教育分野の筆頭局として総合教育政策局を設置するものです。

いま注目されている地域創生の取り組みが進んで、人々が暮らす場所や生活、少子高齢化の問題に変化が起こったらいいなと思います。私自身、勉強不足なので日本の文化政策について歴史や現状を学んでいきたい。

 

アメリカの田舎

アメリカの広い土地が好きです。先日、メリーランド州の田舎でジャズ×ワイン×牧場という組み合わせでイベントを行いました。集まったお客さんは、ジャズが聞きたい人・ワインのテイスティングに来た人・牧場の名物アイスを食べに来た人、それぞれの目的があります。

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国がやっている政策みたいに大きくないけど、こういう小さな小さな活動も芸術を通したコミュニティー形成に役立つと思っています。

アメリカの田舎でも、寄付金で美術館を設立したり大きなフェスティバルをやって観光客を増やしたり、またはベンチャー企業がやってきて地域コミュニティーの活性化を図っています。

牛がのんびり暮らしてる牧場や広い空を見てると、地球はこれだけ広いのだから人々がそれぞれ好きなところで気に入ったコミュニティーをみつけて楽しく暮らせたら良いのになーと思います。

 

テクノロジーと芸術

アーツマネジメントに関わりはじめてから、大学時代に自分の専門として勉強していたジャズ以外の多岐にわたる分野のことを知って考えるようになりました。

wired.jp

この記事で対談をしている落合陽一さんは、研究者でもありアーティストでもあり経営者でもあります。

(一番共感できたのは、私の大好物のつぶグミを主食並みに食べていることですが‥笑)

研究したものを作品として人々に提供して、さらにそれを経済に結び付けるということをやっています。新しいテクノロジーも、アーティストとしての表現も、文系・理系に分けないでどちらの脳も備えていないといけない。

 

ちょっと文化政策の話からは逸れましたが、今後は日本の文化政策についての記事もアップしたいと思います。

文化政策について考える①

日本という国を知ってもらう活動

最近、ワシントンDCやバージニア州にある小学校に行く機会が度々あります。

特別授業として日本のことを教えるプラグラムをやっているのですが、いきいきとした子供たちが日本について知っていることを話してくれたり、素朴な疑問を投げかけてくれたりして、とても楽しいです。

 

何かを問いかけると、クラスのほとんどの子が手を挙げて一所懸命答えてくれるのをみると、関心してしまいます。

 

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私のインターンをしている団体のFBページからお借りしました。

 

また、日本語を話す機会が欲しい人のためのネットワーキングランチや、茶道・生け花・着物の着付けなどを習いたい人のための教室なども開催されていますが、日本という国に興味を持ってくれている人がたくさん居て、嬉しいです。それと同時に、自分の国の事をもっともっと理解して教えてあげられるようにしたい、という気持ちが強まります。

 

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日本に行った時に使える日本語を教えるコンテンツなどの作成もすることができて、とても面白いです。

というわけで、2018年前半はアメリカの文化政策について関わってきたので後半は日本側の活動に関わり、学んでいきたいなと思っています。

 

植物や木の観察

たしか、1年半前くらいに木の幹の写真を撮り始めました。

人間と同じように、表情が一つずつ違うのが面白いと思って観察を始めたのです。

最近気に入ったのが、こちら。

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結構スムースな表面で、蔦が絡まっている感じが良い。

最初はインスタグラムに載せていたのだけど、あまり見たい人は居ないだろうと思って写真を撮るだけにしていた。

最近他に発見したのは、こちらの実。

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全部同じところに生えているのに、色がちがう。

これは、そもそも種類が違うのか、順を追って色が変わるのかはよく分からない。

 

というような感じで、人にはあまり分かってもらえないような観察を日々楽しんでいます。

 

 

林檎摘みのあとに/Tasteのこと/Schwellenangst

今日は題名を見ただけじゃ、ナニコレという感じ。

 

学校は中間テストの期間で、テキストブックを読んでは論文を書いて‥という作業を繰り返しているので、日本語でランダムなトピックを書きたくなった。

 

After Apple-Picking by Robert Frost

まず、"林檎摘みのあとに"という詩のこと。

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 写真は、5年くらい前に林檎を摘みに行ったときのもの。結構お気に入り。

Robert Frost というアメリカの詩人が書いた詩で、「林檎摘みのあとに」というのがある。高校や大学の授業以外で詩に触れるということはあまりしたことが無かったのだけど、たまたま声に出してこの詩を読んでみたら凄く綺麗だと思ったし、不思議な感覚を得られたのでした。

授業とかで扱うと、何行目の意味は〇〇だとか分析をしないといけないんだろうけど、詩を読んだ時に生まれる感情とか伝わるメッセージとかは人それぞれだと思うし、この詩で綴られている情景をイメージするだけで豊かな気持ちになれる。

 

好みは人それぞれ

続いて、「De gustibus non est disputandum」という言葉について。

ある記事でこの言葉を見つけて調べてみたのです。どうやらgustusというのが「好み」というような意味。好みは人それぞれで、他人がそれに対して論ずるべきではないと古代のローマ人が言っていたようです。数か月前に読んだフランスの社会学者、ブルデューの本では差異化についてが書かれていたけど、その人の社会的位置は慣習行動とか趣味を構造化する。この社会的位置は文化的資本と社会的資本に影響されて決まる。

たまたま見つけた言葉だったけど、古代ローマの人も言っていたくらい全ての人は違う価値観を持っているし、その事を常に意識しながら芸術の現場に携わりたいと思った。

 

最近の趣味:ドイツ語

最近、Schwellenangstという言葉を知った。

特に理由はないけど、ドイツ語の絵本を読んでいる。

この言葉は、直訳すると「入口へ入る時に感じる、不安」のようなもの。

私の理解では、こんなシチュエーションで使う↓

歴史あるオペラハウスに行くことになった。少しはおめかしして来たのだけど、入り口に着いてみると、自分だけ服装があきらかに浮いていて「あれ?みんな凄いドレスアップしてるな。どうしよう、、、」というような感情らしい。

「気遅れ」みたいな感じかな?

 

すごいランダムなことを書いたつもりだったけど、結局どれも勉強していることに通じていたような。。

秋のおとずれ

インターン、授業、演奏の繰り返しで、気付いたら9月も後半に!

12月になるまでブログの頻度は落ちそうですが、ゆるく続けていこうと思っています。 

 

新たなインターンを開始!

夏の間はアメリカから発信する文化政策に関わることが多く、ジャズはもちろんアメリカの歴史や文化を通して、知識や体験を提供するお手伝いをしました。

夏のインターンが終わっても、アメリカ歴史博物館でお手伝いする機会があるのでこの縁を大事にしていきたいと思います。

 

そして、秋からは違うインターンを開始!

仕事においても日常においても新しい知識や人とのつながりを得ることは、大学院で勉強するようになってから特に感じます。

 

 

読書のアキ

私は時間に追われ余裕がないときにこそ、隙間時間に本を読みます。

一番最近読み終えたのは、日本語訳のゴールズワージーの作品、「林檎の木」

 

ページ数も少なくシンプルなのだけど、自然を描写するところや読者の気持ちまでを揺さぶるようなストーリーが印象的でした。

川端康成がこのお話に影響を受けて「伊豆の踊子」を書いたよう。(高校生の時に教科書で読んで、伊豆旅行へ行ったのが懐かしい◎)

 

図書館で "The Forsyte Saga"「フォーサイト家物語」を借りてきたのでたのしみ。原作の英語で読むと感じることも違うだろうし、解釈の仕方も変わってくると思うのでじっくりと読みたいと思います。

 

新しい曲 “Philer”

秋は、なぜか色んな感情が生まれる季節。

"Philer"という曲を作りました。題名として使っているPhilerというのは、実は単語として存在しません。

Philというのが、ギリシャ語の動詞で”love"という意味だそうで、それに"er"を付けてagentive nounとして造語をつくりました。

 

世に存在するものに対して、どんなものにも愛という感情を向けることができたら良いなという気持ちを込めています。

 

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仕事も演奏も全力で今学期を乗り切ります★