Jazz Appreciation Month(ジャズ感謝月間)とは?
Jazz Appreciation Monthというのを聞いたことはありますか?
私がインターンをすることになったスミソニアン国立アメリカ歴史博物館は2002年、ジャズの偉大な歴史と伝統を祝うために4月を「ジャズ感謝月間」と定めました。アメリカ大使館では"appreciation"という単語を"感謝"と訳していますが、下記のブログで詳しく説明があるように、①真価を認める②正しく評価する③感謝するという3つの意味を示しています。
この取り組みによってアメリカでは様々な学校やジャズの教育機関が4月のあいだジャズのイベントを開催します。私の通う大学も今月は毎週末にコンサートやワークショップを行っています。このJazz Appreciation Monthを締めくくる一番大きなイベントとしてあるのが4月30日の「Internationl Jazz Day」。これは2011年にユネスコが国内外でジャズの認知を広めるために定めた日です。ジャズミュージシャンの登竜門でもあるThlonious Monk Competitionの主催団体、Thelonious Monk Institution(アメリカ最高峰のジャズ教育機関)をまとめているハービーハンコックがリーダーを務めています。About - International Jazz DayInternational Jazz Day
日本でも国際ジャズデーのイベントとして4月27、28、29、30日に「Auditoria」というフェスティバルが予定されています。JAZZ AUDITORIA 2018 ホームページにも記載があるように、神田淡路町で行われるこのイベントはジャズを通じた文化交流を広げ、国際平和と福祉促進を目指した取り組みです。
2018年のテーマは「Jazz and Justice」。先日もアーツアドボカシーのイベントが開催されましたが、芸術の世界の人々の機会平等やアーティストとしての権利を主張している今年にぴったりのテーマだと思います。特集アーティストとしてNorman Grantzが取り上げられており、Smithsonian Jazz Masterworks Orchestraが彼のトリビュートコンサートを行います。彼はプロデューサーとして、ディジーガレスピー・ビリーホリデー・マイルスデイビス・ジョンコルトレーンなどのレコーディングに関わってきました。また、エラフィッツジェラルドのマネージャーとしても知られていますが、国立アメリカ歴史博物館ではエラの生誕100周年を記念した展示が行われています。Jazz Timesにて、"正義のためにジャズを使った人物"として記事も書かれています。
ジャズをより多くの人に聴いてもらうため、そして歴史や伝統が今後も語り継がれていくためにこのJazz Appreciation Monthのイベントがもっといろんなところで行われるといいなと思います。
アメリカのイースター(復活祭)
今年、4月1日はイースター(復活祭)です。私は最近知ったことですが、キリスト教の人々のとってクリスマスよりも大切なイベントとして扱われている日です。この復活祭は、弟子のひとりに裏切られて十字架にかけられてしまったキリストが、3日後復活したことを祝う日です。
金曜日には、近所の子供たち20人と一緒にエッグハントをしました。朝から雨の予報だったにも関わらず、お日様が出てとても気持ちの良い日になりました。(子供たちが帰った瞬間雷雨となりましたが。。)
私は、小さいころから通っていた日本の英会話教室で毎年エッグハントをやっていましたが、本場のアメリカでやるのは初めて。大人になった今でも卵を染めたり、探したりするのは楽しいものです。
イースター当日の日曜日は、教会で演奏をしました。イースターのサービスでよく使われる楽器がトランペットのため、私はキーボードとタンバリンで参加。それぞれの国や地域の文化は、実際に体験してみないと分からないものだな~と強く感じます。そして、日本からやってきたキリスト教徒ではない私を優しく受け入れてくれてくれる人々にとても感謝しています。この地で勉強や仕事をするためにもっと多くの伝統や文化の理解を深めていきたいです。
アメリカでインターンをするには?
今年の1月頃から準備していた、インターンシップの出願結果が出ました。
スミソニアン アメリカ歴史博物館のジャズ部門でのインターンです!
様々なインターンシップの機会があるなかで、自分の将来を見据えてベストな会社を選ぶのはとても大切なことです。インターン中に新たな出会いがあったり、仕事のチャンスを得たり、今後の進路にも大きく影響してくると思います。そんな中で、今回は私がどのようにこのインターンをゲットしたのかを紹介したいと思います。
~応募の流れ~
①リサーチ(2~3週間)
↓
②提出書類の準備(1ヵ月)
↓
③面接(2~3週間)
↓
④合否(1週間)
主にこんな感じで進んでいきます。人によりますが、おおよその期間も書いてみました。見ての通り、プロセス自体はシンプルですが提出書類を準備したり結果を待つ時間は結構長いです。では、実際に何をしなくてはいけないのかをみてみましょう。
①リサーチ
大学選びや就職活動と同じように、まず始めに会社のリサーチをします。
- 自分はインターンをできるステータスなのか
- 勤務地
- 期間
- お給料の有無
- 仕事内容
- 仕事や学業と両立する場合は可能かどうか
- 仕事環境
せっかくインターンが決まっても、条件が合わない場合は働くことができません。それを防ぐにも、なにか疑問があれば直接問い合わせるのをオススメします。特にアメリカでインターンをしたい人は、ビザや滞在期間など十分な書類が揃っていることを確認しましょう。
②提出書類の準備
- 願書
最近では、インターネット上でデータを入力することが多いです。主に出願するポジション・個人情報・ステータスの確認をします。
- 推薦状(2~4通)
通常、大学教授や上司などに頼みます。自分の事をよく知っている人・しっかり評価をしてくれる人を選びます。推薦者との関係・今までの評価・どうしてこのポジションに適切なのかを書いてもらいます。推薦者と会社にコネクションがある場合や、すでに会社の中に知り合いが居る場合は有利です。頼むときには失礼のないよう、締め切り日ギリギリになって焦らせることのないように注意です。私の場合は3月締め切りで、12月中には推薦状の依頼をしました。
- 履歴書
日本の履歴書には顔写真を貼り付けますが、アメリカでは見た目や人種で判断することは禁止されているため不要です。また、日本では市販の紙に記入しますがアメリカは自分で作成してPDFで提出するのが一般的です。
- エッセイ/カバーレター
この書類が一番大切と言っても過言ではないです。自分のストーリーを知ってもらう機会です。なにを学んで、どう思ったのか・このポジションにどんなことを期待しているか・なにを成し遂げたいのか、自分の言葉で語ります。(私の場合は「いまあなたのエッセイを読んで即電話をしたわ!」と言ってもらいました。
③面接
会社によりますが、電話の場合と直接会って面接する場合があります。私が聞かれたのは、どんな勉強や仕事をしてきたのか(既にエッセイに書いていますが、詳しく説明)・仕事スタイル・達成したいこと・どう貢献できるのかの4つです。それに加えて、電話をもらった時点でほぼ確定だったため仕事内容や頻度の確認をしました。
④合否
面接が終わってしまえば、結果が分かるまで平均して1週間ほどです。
私のアドバイザーによると、だいたい3~5つの会社に願書を送ることが多いようです。私は良い例とは言えませんが、第一希望のインターンをやりたいという気持ちがとても強かったため1つしか応募しませんでした。笑 周りの教授たちは「大丈夫だよ!」と言ってくれながらも、内心ヒヤヒヤしていたと思います。。(;^ω^)
いかがでしたか?
日本で就活する場合もインターンする場合も、同じように応募~面接という流れですがアメリカではいかに自分のストーリーを相手に伝えるか・このポジションのためにどんな経験を積んできたのかが重要なポイントです!
ヨーロッパのカルチャーマネジメント
先日のアドボカシーの講演に続いて、今日はオーストリアからのゲストレクチャーを聞きにいきました。
Leonie Hodkevitch
ウィーン大学 Cultural Management学科の学長。NPO法人'Clearlの創設者。
主にSocial Justice についてのレクチャーでした。
彼女は、ブルガリで生まれ12歳のときにウィーンに移ったそうです。13か国語も喋れる、とても陽気な方でした。(2か月前から日本語かスワヒリ語で悩んで、スワヒリ語の勉強を始めたそう、、残念。)レクチャーが始まる前にお話をしていて気づいたのは、日本やアメリカでは「アーツマネジメント」というくくりで芸術に視点を置いているのに対して、ヨーロッパの方ではカルチャーマネジメントという扱いで、この学問を文化というもっと人間の歴史や生活という根本部分として捉えていることです。つい先日一緒にライブをしたウィーン出身のベーシストによると、ウィーンは多言語や異なる民族が集まる土地で日常的に自分の"heritage"について考えることが多いといいます。それに音楽が盛んなのも相まって、カルチャーマネジメントが盛んなのだなと思いました。
レクチャーの中で出てきたのは、John Donneをはじめとするヨーロッパの哲学者の考え。もちろん、最近私が読んでいた「Distinction」という本の著者、Pierre Bourdieuという社会学者の哲学も引用していました。(フランス語はもちろん読めないので英語訳で読みましたが)アメリカ人のレクチャーではほとんどヨーロッパの思想家が出てくることはないので、住んでいる場所が違うと参考にしている資料がこうも違うのだなーと聞いていて面白かったです。
アメリカでアーツマネジメントを勉強する日本人という、ただでさえマイノリティーな立場ですが他の国の考えなども幅広く勉強して、個性を磨いていきたいなと思いました。
スティーヴン・ホーキング博士
2018年3月14日、理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士が空へと旅立ちました。若くしてALSという難病と闘いながらも、宇宙の創生などの画期的な理論を発表していました。
高校の授業では化学と生物を選択していたし物理の知識なんて全くないけど、宇宙のトピックや展示、宇宙柄の雑貨、宇宙の映像にはなんだか心を惹かれます。私の好きな歌手、矢野顕子さんも大の宇宙好きで彼女の真似をしてNASAから送られてくる映像を寝る前に見ては癒されています。
ただの偶然ですが、ホーキング博士が亡くなる一週間前に科学雑誌Newtonが1月に出た「素粒子のきほん」についてtwitter上でつぶやいていたのがきっかけで、知識0ながらもネットで記事を読み漁っていました。
もう一つの偶然は、原田マハさんの「旅屋おかえり」を読んでいて登場人物のなかにALSと診断された女性が出てきたことです。この難病は2014年のアイスバケツチャレンジによって世界に広まり、知名度の上がった病気ですね。
車いす生活でなおかつ筋肉が弱くなってしまう状態でありながら、50年ものあいだ探求を続けたホーキング博士はどんな人にも勇気と希望を与えてくれる存在だと感じます。私は物理の研究ができるわけでも、医療に関わる仕事をしているわけでもないけど、ひとりの人間としてこの世界が存在することに感謝をして、まだまだ解かれていない謎について興味を持ちながら常に生きていきたいなぁと思いました。
ホーキング博士はいまごろ宇宙を旅しながら新たな宇宙論を発見しているかもしれません。
アーツアドボカシー
アメリカでは3月12日・13日は「Arts Advocacy Day」でした。12日はワシントンDC ケネディーセンターにArtsの世界を引っ張る関係者がこぞって集まりAmericans for the Arts主宰の"The 31th Annual Nancy Hanks Lecture on Arts and Public Policy"が行われました。
大統領が代わったこともあり、芸術に対する公的支援はどんどん減ると予想されています。そんな中、芸術に関わるリーダーたちがどうにか予算を確保しよう・もっと芸術活動が盛んな国にしていこうと力を合わせて動いているのです。
Trump Proposes Eliminating the Arts and Humanities Endowments - The New York Times←ニューヨークタイムズでも昨年記事になっています。
一般公開のイベントではなかったのですが、関係者に連れて行ってもらうことができ、貴重な体験になりました。そして、Americans for the Artsの副会長であるRandy I. Cohenにもお会いして話をすることができ、とにかく濃い一日でした。
彼のブログ記事:なぜ芸術活動を支援するのか↓
Ten Reasons to Support the Arts in 2018 | ARTS Blog
ロビー活動なども行われ、今後どのようになっていくのかドキドキです。
(Nancy Hanks LectureのインタビュアーDr. Carla Haydenのtwitterより)
Washington Women in Jazz Festival
3/10から約一週間開催しているWashingon Women in Jazz Festival。日ごろからニュースでも、女性の働き方やセクハラなどの問題について語られていますね。3/8は「国際女性の日」とされているためこのジャズフェスティバルも同じ週に開催されるようになりました。
2011年にジャズピアノ奏者のAmy K Bormetが立ち上げた団体で、DCやヴァージニア州、メリーランド州の女性ジャズミュージシャンを中心とするコミュニティーのために活動中。スミソニアン アートミュージアム・Livine School of Music・ウェストミンスター教会などがスポンサーとなっていて、フェスティバルもこれらの会場で開かれます。
今回、私はミュージシャン&主宰側のお手伝いとして参加させてもらっています。昨日始まったばかりですが、コンサートはすべて満席。女性だけでなく、男性のジャズミュージシャンもたくさん足を運んでくれて、終始ポジティブなエナジーが感じられました。ここまでのコミュニティーを作りあげたAmyはミュージシャンとしてもアーツマネジャーとしても憧れです。
1日目のイベントのゲストとしてニューヨークから来ていた素晴らしいテナーサックス奏者のRoxy CossもWIJO – Women in Jazz Organizationという団体を立ち上げています。いろんな場所に、こういうコミュニティーができて輪が広がっていったら面白いだろうなあと思います。
フェスティバルやリハーサルの様子↓